母の闘病中の話。


ある時、病状説明を家族全員にしたい、との医師からの連絡があり、
仕事の調整をつけて、約束の時間に病院に駆け付けた。
(この時は、既に手の付けようが無かった状況だったが)


この日は外来や入院患者の対応で、
主治医の医師はてんてこ舞いの様子であった。
家族が全員揃ったのを確認して、
廊下を走り回る主治医に父が、「先生、揃いましたので…」と声を掛けた。
すると、その医師は小走りをしながら、
「ちょっと待って!患者は貴方の所だけじゃないんだから!」
と叫んだ。(というより、怒鳴った)


……恐らく、病院でなかったら、私はこの医師を思い切り殴り倒していただろう。


もしかしたら、その前に父との何らかのやり取りがあったのかも知れない。
父は、母を心配するあまり、頻繁に「先生、先生」と声を掛けているらしかったので。
それが少々、うっとうしかったのかも知れない。
しかし、それを全て差っ引いたとしても、そんな言い方は…。


その医師は、もしかしたら腕利きの名医なのかも知れない。

でも、私はそういう医師には掛かりたくない。

絶対に。


“医師”の基本的な資質って、一体なんだろうか。


いや、これは反面教師として、
医療人の端くれとしての自分も肝に銘じなければ。