母が闘病中のこと。


当然、重病であったので、完全看護の病院である。


入院時には下肢が動かない状況で、
じきに手も動かなくなった。
そうなると、全て看護士の方に世話のほとんどを委ねることになる。


しかし、多数の看護士の方がいると、
やはりその仕事の仕方には、違いがある。


食事の補助なども、
うまく食べられない母を、やさしく待ってくれる人。
「なんだ、早くしてよ」と言わんばかりに、
「いらないの?いらないのね?」と、さっさと片付け始める人。


床ずれを防ぐために、身体の向きを変える時に、
やさしく動かしてくれる人と、物を扱うようにする人。


夜勤で、こちらが声を掛けないと様子を見に来ない人と、
頻繁に見に来てくれる人。


何となく全てが事務的な人と、
いつも暖かい笑みを絶やさず、優しい言葉を掛けてくれる人。


ひとつ一つの作業は、それほど難しい作業ではないのかも知れないが、
やはりどんな仕事でも、そのやり方は100人いたら1〜100位まで、順位が付く。


私も以前、企業で教育担当を務めていたころ、
社員によく言っていた。
「コピーひとつ撮る仕事でも、必ずその完成度には順番が生ずる。
 角を揃えない者。右上隅をステープラー留めする者。10部ごとに分かりやすくまとめる者。
 ページが付いてなければ、気を利かせてページ番号を打ってからコピーする者。…」


どのような仕事でも、やはりプロフェッショナル。
やはり、「プロ意識」を持って、鮮やかな仕事を心掛けたいものだ。


それにしても、
やはり命の現場である「看護士」の仕事の資質は、
「優しさ」「人への尊敬・慈しむこと」が大切なのだと痛感する。


自分の最期は、どんな看護士の方に看取ってもらえるのだろうか。


いや…畳やベッドの上では逝けないかな。自分の場合。