昨日になるが21日の記事にも書いた通り、国際救命救急協会という団体が主催する講習会で、心肺蘇生法(人工呼吸と心臓マッサージなど)の指導を行ってきた。
CPR講習風景
心肺蘇生法というのは最近は運転免許を取得するときなどにも義務付けられたりで、
以前に比べれば関心が高まっているものの、欧米を中心にした諸外国にくらべると日本の意識は格段に低いと言わざるを得ない。確かに「めったに起こり得ないこと」に対する準備の事なので普及が難しいのも事実。しかし、日本も徐々に食生活を中心に身体も欧米化しつつあり、心臓疾患などの疾病も欧米化してきているため、リスクマネージメントの一環としてもこのような技術は必要不可欠になりつつある。


かくいう私も、以前に所属していた団体で、目の前で倒れた人に対して適切な処置が出来なかったという経験がある。(結果的にその方は亡くなった)特に私の処置に問題があった、ということでは無かったが、自分の心の中の傷として、今でもずっと引きずっている部分があり、それがきっかけでその技術を勉強し直して、今では普及の活動の一翼を担うようになった。


皆さんも、もし自分の愛する人、家族が目の前で倒れて、救急車が到着するまで何も出来ず、それが結果的に原因になって、不幸にも命を落とすような事になってしまったら、果たしてどのように思うだろうか。
「転ばぬ先の杖」というのは現実的には難しい事だと思うが、多くの人にそのような意識を持っていただけることを望む。


技術、とは言ってもそれほど高い能力を要求されるわけでも無く、70歳過ぎのご夫婦なども講習を受けに来ていたりしている。「女房と二人っきりで、どちらが倒れても助けられるように」などと笑って話しておられた。素晴らしい夫婦愛!
つまり普通の身体能力があれば習得できるものだ、ということだ。


心肺蘇生法の細かいことを述べるとかなり長くなるので、詳しいことはまた気が向いたらとは思うが、今、世界的には蘇生法の実施方法が大きく変わりつつある。本質的には変わらないのだが、普及を重視するあまり、余りにも蘇生率(助かる率)が低い恐れのある方法で指導をしていたりしており、この辺りの標準化は難しい。基本的には技術的な指導方針の意志決定はアメリカの判断によって方向性が決まっているのが実態である。日本でも多くの団体における指導法は、そのかなり簡略化されたスタイルに2000年ごろから変更されて行われている。(無論、教わる側は優しいが・・・)国内で、以前のように「蘇生成功率」重視で指導を貫いているのは、こちらの国際救命救急協会だけである。実はこの団体で普及が行われている内容は、アメリカにおける普及目的の一般人向けの蘇生テクニックではなく、1ランク上(「ヘルスプロバイダ」というレベルの認定資格)の内容で指導を行っている。そういう事情もあって、この団体で出している認定資格のみが日本国内では唯一、国際的に認められる資格になっているのである。


例えば、トレーナーを職業にしている人はご理解していただけると思うが、アメリカに非常に難しい「NATA-ATC」といトレーナーの資格があるが、この資格をとるのに心肺蘇生法の認定資格が必要になる。この認定資格は日本国内のどこの団体の認定でも良い訳ではなく、唯一この国際救命救急協会の資格だけが認められている。



もちろん最終的には資格を持っているうんぬん〜、という話ではないので、要は身近な人を救えれば良いのだ。
私も別にどこの団体がどうこう、というつもりは毛頭ない。(事実、私はどこの団体での技術も習得済み)つまりは皆さんにいざという時の備えをお勧めしているに過ぎないので、もしご興味がある人は、一考願いたいと思う次第である。