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『ダメなやつは、いくらやったってダメ』………


誰の言葉かと云うと、
高校野球の名将、茨城県常総学院野球部の木内総監督の言葉である。








少し前に、新聞に仁志敏久氏の連載があった。


常総学院のOBで、巨人〜横浜で活躍し、今年にアメリカ独立リーグに渡り引退した、あの仁志敏久さんである。





仁志氏の歯に衣着せぬ発言は、木内監督の影響が大きいようである。




冒頭の発言は、木内監督の口癖だったそうだ。





仁志氏も同様に言っているが、
一見、身も蓋もない発言に聞こえるが、一面の真理は突いているように思える。





木内監督が云うには、


「もし部員で、東大に行きたい!ってやつがいたら、
多分、先生なら『頑張れば行けるぞ』と言うだろうが、
オレは先生じゃないから、はっきり言うぞ。
無理だからやめとけ、って。


おまえが幾ら勉強したって入れねぇ。頭の良いヤツは最初っから出来んの。
無理なもんは幾らやったってムリなの」



…だそうである。




ここまで云うか…とも聞こえるが、
仁志氏は、こう捉えている。




「努力するのは大事。
でも頑張ったからといっても埋められない差というのもある。
出来ない人に『頑張れば出来る』というのはウソ。
木内さんは、そういうつまらないウソがつけない。
ムダなことをするよりも、別の道に進んで報われる努力をした方が良い。
愛情の裏返しなんです」







世の中の大半は、綺麗事で出来ているので、
ハッキリ口に出来る木内監督は羨ましい気もする…





野球に当てはめれば、
非力な選手(力を集める事が下手な選手)がプロに入ってホームラン40本打てる事はないし、
高校生で130kmも出ない投手が、大学やプロで150kmを投げられる可能性は低い。





ならば、ホームランバッターを目指すより足で稼ぐシュアな選手を目指した方が良いし、
速球よりもコントロールと変化球を磨いた方が良いのかも。


ただ、木内監督が例に出した東大は、もしかしたら後天的なテクニック習得で可能かも知れない。

東大合格は、頭の良し悪しと別な側面もあるらしいので…(byドラゴン桜)


ただし「努力出来る才能」は、大体は幼少期に備わるようであるが…







私も、理論的、学術的な説明は出来ないが、
若い人の指導をする中で、木内監督の仰る通り、という場面は大変多い。



つまり、「君は……ムリな気がする」
と、いうような場面。





その道に関しては、大体分かるもんなんです。



その子が、どの程度まで行けるかどうか。





あくまでも想像だが、
木内監督も、その人間が夢と語る理想と、実際に本人が努力している内容や量、
それをトータルバランス的に見て、冒頭の発言をしているのではないか。





私の職域に於いては、


「世界に出て行けるトレーナーになりたい!」


「金メダルを取れるような選手のトレーナーに付きたい!」



と、若い人が夢を語る。




それは眩しくて結構なのだが、


その言葉に見合う努力をしているようにも見えないし、
この数ヶ月で著しく成長が感じられる訳でもない。




とすると、「目標に向かってがむしゃらに頑張る才能が無い」と感じられ、
こりゃ〜ムリだろ、となる。






教育者的には、
出来ない子を、どのように目標に導くかを考えるのが仕事である、



とはなるが、

現実には、木内監督のような言葉で終わらせたい…事も多い。





理想は(モノにもよるが)、「頑張れば出来る」なのだが、
現実は、「ダメなやつは幾らやったってダメ」でもあり、
ならば、報われる努力に向かわせてやった方が良い…







それでも、私はあまり綺麗事は云わず、
極力現実を示している方だが、かなり殺伐とした話になってしまう。







分かっていながら言わないのは「悪」か、
ムリと分かってて、耳触りの良い事ばかりが「悪」か。


あるいは、どちらも「善」か。






そのどちらも、現実とは乖離している気も…






幾つになっても、未だ答えは出ず。