このblogでは、頻繁に「固定観念を変えるのは難しい」という類のことが出てくる。


私は、いつも物事を裏から見る癖がある。


言い方を変えると、「その分野の常識を、常に懐疑的に見る」という事である。
私の関わる世界で言うと「運動生理学」であろうし、
もしかすると「科学的常識」すらも危ういと、一旦は考える。


と言うのは、多くの人は、
その道の権威が発表したことや、
その世界で「常識」と言われてきた事が常に覆され、
それで新たな理論めいたものが構築されて、
いわゆる「通念」が出来上がってきた歴史があるからである。


「人体は小宇宙」とよく言われるが、
宇宙のことは未だ解明されていない。
と言うより、恐らくほとんど分かっていない。
つまり同様に、人体のことも本当のところはほとんど分かっていない、と考えるのが自然だ。
事実、分かっているようで分かっていない。
分かっているならば、全ての病気は治るはずだし、
同じトレーニングをすれば全員、結果が出るはずだ。
実際は「分かったつもり」になっているだけだし、
「通念」に無理やり当てはめているに過ぎない。
進化論の過程で、理屈で説明出来ないことは「突然変異」という理屈にしてしまうことと同様である。


たとえばひとつの例だが、
3〜4年前から、「ストレッチング」(スタティック)というものの通念的な理論と効果に、かなり懐疑的な感覚を抱いている。
否定、というほどの強い確証は無いのだが、まだ「疑問」という程度のものである。


ただ、立場上と言うか、
この分野では常識になっている事に異論めいたことを言うのはかなり勇気のいることで、
結局は依頼があればストレッチの指導はするし、
セミナーもやっている。
このような状況が、実際トレーナーとしてはジレンマに陥いるところだ。


実は、こんなことを言うと便乗のように思われるので、
このエントリーも書くのを迷ったが、
最近、「キネシオテープ」を考案した加瀬建造氏が、このような類のことを訴えている。
少々、我々のような立場からすると「ストレッチは害」と、過激な内容であるが、
今の時点ではすべては容認できないが、以前から感じていたことが共通している部分も多く、
非常に注目はしている昨今である。
ただ、これとてそのまま受け入れることはせず、
あくまで最終的には「先入観を消した自分の感覚」を拠りどころにして、自分の責任において判断している。


ストレッチングに懐疑的な想いをいだいているのは、
圧倒的に「柔軟度」が増したり、「痛みの軽減」に繋がっている実感が得られていないような感覚がするからである。
恐らく、ほとんどの人は、通念で言われている理屈に合わないことは
「突然変異」的に感覚から抹消している場合が多いと推察する。
これは「科学的に立証」という理論に似ている。


「科学的に立証」というのも、
多くの場合、「仮説(=前提)」ありきである場合が多く、
仮説にはまらないものは抹消(とりあえず保留)されることが多いものだ。


ストレッチに話を戻すが、
ストレッチングの目的は、基本的には「筋の弛緩」であろうと思われる。
私は実は数年前から、その目的で個別指導にストレッチを用いることは少ない。
もちろん、整体の施術にも、である。


では、どのような手法を用いているかと言うと…


企業秘密だし、まだ研究中なので細かく言えないが…



大まかに言うと、
長軸上で「圧」(押し込む)を掛けて、「ゆする」(振る)ことである。
特に体幹〜頚にかけては有効のような実感。
筋に圧(外力で収縮)、と考えても良いかも知れない。
いくつかのバリエーションを模索中で、この限りではないのだが。


すいません。
これぐらいで勘弁してください…



詳細はさておき、このような考えに至ったり、
こんなエントリーを書こうと思ったのは、最近読んだ本がきっかけであった。


99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方
という本である。







正真正銘の科学者の方が書いた本で、
まさに専門家の視点で、歯に衣着せぬ論調。
読んでみると、我々一般人が驚くほど、当たり前と思っていたことが実は解明されていないことが分かる。


例を挙げると…


「飛行機が飛ぶ理由は、科学的には証明されていない」

「全身麻酔が効くメカニズムは、実はほとんど分かっていない」

などなど…



詳細はお読みいただければと思うが、
要は世の中、大部分が「仮説」で成り立っているのである。
科学で立証されているものも、全体の事象のごくわずか。
と言うより、まだまだ科学の方が実態に追いついていないのであろう。


こう考えると、「科学的に〜」なんていうのも、果たしてどこまで「科学的」なんだか。



つまりは、全ては曖昧なものの上に成り立っている。
(成り立っていると錯覚している?)


そういう前提に立つ、という心構えが必要なようである。
特に、人体は奥深い…