患者さんの中には、所謂「夏風邪」を引いてしまった人がいる。
この暑い時期に熱が出て、おまけに冷房を使えないというのはとてもつらい。
さて、今日は発熱など、「出す」という事についてである。
体から「出す」ものの代表選手と言うと…。
熱・大便・小便・屁・汗・分泌液・くしゃみ・咳・ゲップetc。
確かに場面によっては出て欲しくないものもあるし、
特に熱や咳は非常につらいものだ。出来れば出て欲しくは無い。
しかし以前のエントリーでも書いたが、
これらは現象は、体内の「熱」を逃がす為にも人体に必要な機能だ。
また、逆に言うと、健康が損なわれ生命力が落ちると、これらが「出せなく」なる。


読者の皆さんの中にも経験者がいると思うが、
所謂ぎっくり腰などを患うと、咳やくしゃみをすることが苦痛なの何の!(激痛!)
咳やくしゃみは、実はものすごいエネルギーを持っていて、
体内の異物をそのすごいエネルギーで体外に放出する為の機能だ。
(ロケット発射機能のようなもの)
それが病などで床に伏せたりして体力が奪われると、
咳、くしゃみすら出せなくなる。


排便もそうだ。
自分で便を出せる、というのは素晴らしい事だ。
皆さんの中にも、ご自身やご家族の中にそのような経験を持つ方もいるだろう。
排便が自分で出来ない。大便を自分の「腹圧」で押し出せないというのは、
やはり生命力が低下していることの現れなのだ。


「発熱」も、つい迷惑な現象と捉えがちで、
確かにあまりの高熱は辛いものだから、すぐ解熱剤などを使ってしまう。
しかし本当に生命力が低下すると、「発熱」すら出来ない。
「発熱」というのは、何らかの代謝の過程で体内に発生した熱を放出する、必要な機能だ。
(長時間使っているパソコンが熱を持つのと同じ)
本来は熱を出せない事の方が大問題で、
「発熱」が出来る、というのは、実は生命力が大、
むしろ健康な証拠、と言えるのだ。
しかし現実は「熱がある、無い」だけで現状を判断してしまいがちだ。
「熱が無いから安心」「熱が低いから大丈夫」
そういう事も言えなくも無いが、
微熱が続いて「熱が出し切れない」ぐらいなら、
38,9度バーッと熱が出て、さっと引いてしまう人の方が生命力は強い、と言える。



とは言うものの、発熱はつらいので、解熱剤である程度コントロールしたくなる気持ちも理解出来る。
ある程度以上まで熱が上昇するようなら、それを抑えないと生命危機の可能性もあるのも事実。
しかし、発熱にしろ何にしろ、体が「出そう」と反応しているものは、
全て、何かの「意味」がある事も事実。
つまり「必要」があって起こしている現象である、という事だ。
それを外力で封じ込める、というのが果たしてどうなのか…。


まあ、でもつらいしねぇ。仕方が無い面も。
この事は「人体観」「生命観」にも関連してくる問題で、
根本的には「病」は“悪”?か“善”か?という捉え方の問題だ。


この事は、また改めて。