以前のエントリーで、私が担当しているフィットネスクラブのアドバイザーの仕事に関して少し書いた。
この1年は、主にトレーナーとしての専門分野よりも、
接客サービスマンとしての意識付けの再確認を主に行っている。
もちろん、接客接遇の確認と言っても、
私も完璧なるその道の専門家とは言い難い。
だが、フィットネスクラブの接客というのは、
私の少ない経験から言うと、他のサービス業
(ホテル・外食産業など)とはやや異なるような気がしている。


一番言えるのは、
ある面では、クラブ側からすると「場の提供業」となってしまう可能性があると言う事だ。
そういう意味では、存在の仕方が「アミューズメントパーク」に近いと思われる。
つまり「場だけ提供」で済むかどうかという点である。
「アミューズメントパーク」に近いと言うのは、
良し悪しを別にすれば、「アミューズメント」もアトラクションさえあれば、取り敢えずは楽しめる。
(ディズニーランドは、そこに加えて「人的」サービス
 が抜きん出ているので、今日の繁栄が有るのだが。)
それと比べて、ファミレスなどの外食産業は、
確かに完全セルフサービスも不可能ではないが、基本的にはオーダーをとったり、
食器のセッティングや配膳などが人の手によるサービス提供が外せない。
ホテルも、最近はチェックアウトが機械化されたりし始めているが、
現状はまだフロントを中心に人の手によるサービスは無視出来ない。


フィットネスクラブに足を踏み入れた事が無い人は分かり難いと思うが、
要するに「運動」をする「場所」だ。
確かに運動を「指導」する人は必要なのだが、
今は大体、トレーニング用の機械があるのが普通で、
その使い方さえ聞いて(あるいは説明書を見て)、
自分の希望(痩せたい・たくましくなりたい)に合わせたやり方を覚えてしまうと、
あとはスタッフ側からすると「場の提供」と割り切ってしまう事も可能なのだ。
もちろん「エアロビクス」や「ダンス」などの種目は、「人的」サービスが欠かせない。
だからその方面のインストラクターは接客指導技術の向上に熱心な傾向がある。


ところが、いわゆるトレーニングジムにいる「トレーナー」(会社によって呼ぶ名は異なるが)は、
極端な話、例えば初めての利用者に機械の使い方を教えたりのみで、
必要最低限の仕事以外の事は、積極的にしなくても、一日は特に大きな問題も無く過ぎていくのだ。
つまり「場の提供業」と、意識的か無意識的かは別にして、割り切ってしまう事も可能だ。


フィットネスクラブに来る方も、基本的には目的を持って入会はしてくるのだが、
それ以上、自分の身体に深く興味を持っている訳では無い人が意外に多い。(と私は思っている。)
だから、最初に「やせたい場合はこれをやって、あれを〜」と説明を受けると、
「なるほど、そんなもんか」と思って、まずは張り切って始めてみる。
しかし、その内スタッフの側から声が掛けられなくなると、効果が出てるんだか何だか分からなくなり、
結局、足が遠のいてしまうというパターンが多い。


これは弁護をするわけでは無いが、スタッフに「悪気」は無い。
しかし人間というのは“楽な方へ”流されるもの。
「積極的に何もしなくても、大きな問題は無さそうだ。」と思ってしまうと、徐々に自分から何もしようとしなくなる。
こうなると、修正に非常に時間が掛かる。
そればかりか、リーダーがそれに気付いていないと、
新しい人を採用しても同じ事の繰り返しだ。


重要な事は、
お客様から積極的に色々聞いてくる人の方が少ないのだ。
例えば「痩せたい」という要望に対しても、「痩せたい」の一点だけで何ヶ月も、何年も人の興味は引っ張れない。
ましてや、最も忘れてはならないのが「結果が出るのに時間が掛かる」という事だ。
これは他の「商品」ではあまりない。
外食産業でれば、お金を払って注文して、料理が出てきて食べれば、「旨い!」「満腹!」という結果がすぐでる。
エアロビクスなども、痩せるという結果はすぐ出ないが、「爽快感」という結果はすぐに出せる。
ジムでのトレーニングは、余程の運動好きでない限りは「爽快感」まで行き難い。


つまり、トレーニングジムの「トレーナー」というのは、
「痩せたい」という表面的に自覚出来ている要望(ニーズ)だけ聞いて安心せず、
その人も自覚していない潜在的な要望(ウォンツ)を引き出して、興味を繋ぎ止める事を意識して接客にあたり、
「結果が出るのに時間が掛かる商品を扱っている」という自覚が必要なのだ。


ただし、断っておくが「場の提供業」に徹する事は、決して悪くは無い。
ビジネスでやる以上、利益を出すのは当然だ。
その上で、究極的に人件費を削り、フロントなども自動化して、
「うちは“場”を提供致します。使い方はお教えしますが、それ以上のサービスは有料です」
と言い切ってしまう事も、これはこれで一つの方法だ。
繰り返し言うが、良し悪しは別である。
ただ、「中途半端」が一番いけない。
「どう考えても、このスタッフ体制でサービスしろったって無理っしょ」という状況を強いる会社もあるのも事実。
そんな状況なのに、スタッフに要求するレベルは高い、というのは些か無理がある。
会社もどちらかに自社の方針を明確にすべきなのだ。
その上で、初めてその方針のもとに「教育」が成り立つのである。


とは言うもののスタッフ側も、山のようにお客様が押し寄せ、スタッフ数も十分でない中で、
「接客指導なんて無理」と感じる事も確かにあるだろうが、
何もしないより、与えられた条件下で出来る事を最大限やる姿勢が重要なのだ。
現状は厳しいだろうが。